診療案内

ヘルニア

診療について

人工補強材(メッシュ)を使用した、術後の疼痛が少なく、再発も少ない手術を行っています。
当科では以下にお示しする①腹腔鏡下ヘルニア修復術(transabdominal preperitoneaI approach,TAPP法)と、②メッシュプラグ法を主に用いています。両法を適切に実施することで、全ての種類のヘルニアを修復することができ、併存疾患をお持ちの患者さんにも柔軟に対応することが可能です。

そけいヘルニアとは

一般に「脱腸」と呼ばれる良性の病気です。成人そけいヘルニアは、下腹部から足の付け根(そけい部)の組織が脆弱になり、その部分からお腹の中にある腹膜が袋状に飛び出してくることによっておこります。袋状の腹膜の中には小腸や大腸、場合によっては大網、卵巣、膀胱などが入り込みます。
入り込んだ臓器が戻らなくなり、臓器の血流が悪くなる状態を『かんとん』と呼びます。最悪の場合、腸管などが壊死し腹膜炎を起こすことがあるため、かんとんした場合には緊急手術が必要です。

そけいヘルニアには次のような種類があります。

外そけいヘルニア
最も頻度の高いヘルニアです。幼少期からそけいヘルニアをお持ちの方や、前立腺癌術後の方に認められます。
内そけいヘルニア
見た目には外そけいヘルニアと同じですが、より身体の中心に近い部位(内側)から脱出します。再発ヘルニア(過去にヘルニアの手術を受けた後で発症したヘルニア)で認められることが多いです。
大腿ヘルニア
中高年の女性に多く、かんとんを生じやすいのが特徴です。
複合ヘルニア
上記のヘルニアが複合して生じているヘルニアです。
閉鎖孔ヘルニア
高年のやせた女性に多い、比較的稀なヘルニアです。かんとんを生じやすいのが特徴です。

治療方法

成人のそけいヘルニアは自然に治ることはなく、治療には手術が必要です。

  • 腹腔鏡下ヘルニア修復術(TAPP法)

    おなかの中に二酸化炭素を注入して膨らませ、腹腔鏡を挿入して、メッシュを固定しヘルニアを修復する方法です。腹腔内から観察するため、ヘルニアの診断が容易にでき、腹壁が弱く将来的に脱出する可能性のある病変も見つけることができます。さらに、外・内そけいヘルニア、大腿ヘルニア、複合ヘルニアなど、様々なタイプのヘルニアを同時に修復することが可能です。その他に、手術の傷が小さく(左右下腹部に5mm、おへその下に1cm)術後の痛みが少ない、再発率が低いといったメリットがあります。

  • メッシュプラグ法

    そけい部切開法という足の付け根の部分を切開して、メッシュ及びプラグと呼ばれる補強材を留置する方法で、現在わが国でもっとも行われている方法です。手術創は4~5cmで術後の痛みは軽度、比較的短い手術時間、麻酔方法を選ばない(全身麻酔の他,腰椎麻酔,ないしは局所麻酔での治療も可能です)、といった特徴が挙げられます。

退院後の生活

  • 手術翌日からシャワー浴可能です。
  • 抜糸はありません。
  • 退院後は座っての仕事が可能です。
  • 軽い運動は術後2週間位で可能です。
  • 術後約1ヶ月で、おなかに力がかかる仕事も可能です。

退院後の注意点

そけい部の腫れ
多くは水腫や血腫であり、半年位で自然に軽快します。まれに再発の場合もありますので、気になる場合は再診してください。
手術創の発赤
皮膚の接着剤によるかぶれ、細菌感染の場合がありますので、再診してください。
手術創から水が出る、出血する
処置が必要な場合がありますので再診してください。
つっぱり感
メッシュが組織になじんでくると自然に軽快してきます。多くの方は半年以内に改善します。
長期にわたる術後疼痛
そけい部の末梢神経障害を生じている場合がありますので、再診してください。

そけいヘルニアが再発してしまったら

  • 基本的には再度手術が必要となります。
  • 前回の手術がメッシュを使用しない方法(組織縫合法)であれば,TAPP法・メッシュプラグ法のどちらの方法でも修復可能です。
  • 前回の手術がメッシュを使用する方法であった場合は、TAPP法で修復を行うと、前回の手術をした部位を必要最低限しか操作せず、より確実に再発部位を修復できます。

診療実績

2018年までの累計は以下の通りです。

2016 2017 2018
鼠径ヘルニア 47 38 31
TAPP 17 18 8
ヘルニア(その他) 6 6 11
合計 70 62 50
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